再任から半年、マハティール首相に疲労感も

(マレーシア)5月9日に実施された総選挙で圧倒的に不利な条件を乗り越えて政権奪取に成功した希望連盟。同連盟を率いるマハティール首相は、世界最高齢の93歳にして首相に再任した指導者として注目されている。しかし、健康問題もさることながら、その任務は容易なものではない。

「私は今、死ぬべきなのかも・・・」

 11月1日のAFP通信とのインタビューで「私は今、死ぬべきなのかもしれない」と冗談まじりに語ったマハティール首相は、疲労感をにじませた。
 その一因が、初めて首相を務めたとき(1982年〜2003年)と比べると、「今回は、(ナジブ前政権時の汚職と職権乱用により)政府のあらゆる機構が壊滅的なダメージを受けていて、初の首相就任時よりもより多くの任務を果たさなければならない」ことにある。
 汚職の摘発、1兆リンギ以上にもおよぶ国家債務の返済、中国が支援する大型プロジェクトの中止による世界第2の経済大国との関係冷却化の危険性への対処など、取り組むべき課題も多い。
 中央銀行総裁や検事総長など、前政権と政治的な関与を深め解任せざるをえなかった政府機関の要職の空白を埋め、政府に過度に左右されずに機能するよう指揮していく任務もある。

政権の基盤も脆弱

 さらに「ナジブ政権打倒」の錦の旗の下に結集し編成された希望連盟は、強固な連合とはいいいがたい。かつて首相の「政敵」だった政治家が含まれているなど、政権の基盤も脆弱だ。
 そのかつての「政敵」のひとりがアンワル元副首相だ。前回首相を務めた1990年代に後継者に指名しながら解任し、同性愛と職権乱用の罪状で元副首相を投獄。その後、2004年に無罪判決を受け政界に復帰した元副首相と和解、「ナジブ打倒」でマハティール首相は手を携えた。
 2年程度でアンワル元副首相に首相の座を禅譲すると約束している首相だが、「約束したことは守る」とあらためて言明。10月の補欠選挙で国会議員に返り咲いた元副首相が政治の前面に出てくることで「緊張関係が生じるのでは」との問いに対しては、「アンワル元副首相とはかつていっしょに仕事をした仲だ。問題はない。私は誰とでも仕事をやれる」と語り、各方面で広がる疑問の解消に努めた。

強権的手法の再現がありうる?

 一方で首相に対しては、前回の首相就任時に司法その他の政府機構の弱体化、報道機関への攻撃、政敵の投獄といった強権的手法を発動した前歴があるだけに、今後希望連盟への失望感が高まった際に強権的手法の再現がありうるのでは、と懸念する向きもある。懐疑的な見方が存在するのもマレーシアの政情の一面の事実である。
(11月1日AFP通信)

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最低賃金改定の頻度増も可能

(マレーシア)マフズ・オマル副人的資源相は11月初旬の国会答弁において、状況に応じて最低賃金の改定を2年に1回以上の頻度で実施する可能性を示唆した。
 現状では、国家賃金諮問委員会法で最低賃金を2年ごとに1度見直すと規定している。しかし、改定の頻度をさらに増やすこともありうると言明した。同相はその条件として中小企業の財政状況が強化された場合や経済状況が改善した場合などをあげた。
 一方で政府は、マレーシア半島部で1000リンギ、サバ、サラワク州では920リンギに設定されている最低賃金を2019年政府予算案で全国一律1100リンギに引き上げる方針を打ち出した。

最低賃金の急激な引き上げを回避

 これに関して同相は、生活費の高騰にさらされる労働者の実情や中小企業を中心とした雇用主の負担能力などを考慮して算出した額であると説明。最低賃金の急激な引き上げを回避することで、外国からの投資機運を損なわないようにする意味もあるとしている。
 また内外労働者に対して同一の最低賃金を設定することで、外国人労働者を低賃金労働者として雇用しようとする動きに歯止めをかける効果も見込めると同相は説明。最低賃金以外の手当てに関しても労使は自由に交渉できると、状況に応じて柔軟に対処していくよう提起した。
(11月1日スター)

住宅購入資金調達法に不安続出

(マレーシア)11月2日に国会に上程された2019年政府予算案で、住宅を初めて購入する人の資金調達手段として、民間部門による「不動産クラウドファンディング」を認可した。
 住宅購入者は不動産総額の20%を用意すれば、残り80%に対する出資者を募ることが可能になる。資金調達は、貸し手と借り手をインターネットで仲介する「ピア・ツー・ピア(P2P)」の枠組みに基づき実施し、証券取引委員会が規制するというのがその主な内容だ。

不安を訴える声も続出

 この「クラウドファンディング構想」に対しては、住宅の所有権を拡大し、住宅の売れ残りを解消する画期的な方策になりうると評価する向きがある一方で、不安を訴える声も続出している。確かに不動産開発業者には恩恵が及ぶが、住宅購入者の安易な資金調達が世帯の借り入れ状況を悪化させ、将来の不良債権化(出資金の焦げ付き)や不動産投機を呼び起こす恐れがあるとの懸念が出ている。

収入を引き上げ住宅価格を引き下げる方法

 アジア戦略・指導力研究所公共政策研究センターのジャレン・タム上級政策アナリストは、「すでに月賦支払いを抱えている低所得世帯の借り入れ状況を悪化させるだけ。不動産部門の本当の問題は、収入と住宅価格の格差拡大であり、包括的な解決策は世帯収入の水準を引き上げ、高騰する住宅価格を引き下げることだ」と指摘する。

構想に懐疑的な見方

 全国住宅購入者協会のチャン・キムルーン事務局長も「マレーシアの不動産危機の本質は、収入と比較して住宅価格が高すぎることにある。資金調達の手段不足ではない。値上がりを期待しての投機や逆に転売できずに不良債権化する動きも起こりうる。出資者に利益を還元できず不動産投資詐欺のような結果を導く恐れもある」と、この構想に懐疑的な見方を示す。

検討課題が多々あることが浮き彫りに

 また業界筋の「買い手が望まない地域に住宅を建設するといった不動産の需給のミスマッチを解消するのが先決」、「将来の価格上昇を期待して投機的に購入する動きが出て、居住目的の住宅所有の拡大に結びつかない恐れもある」との見方も。
 ナイト・フランク・マレーシアのサルクナン・スブラマニアムMDは、米国で財政力が不足している住宅購入者がローンで資金を借り入れサブプライム問題が発生した教訓に学ぶべきとして、資金調達希望者の信用度を厳格かつ定期的に審査するシステムを構築する必要があると提起。検討課題が多々あることが浮き彫りになった。
(11月13日サン)

マハティール首相がシンガポール訪問

(マレーシア)11月13日から3日間、シンガポールで開かれるASEAN首脳会議に出席するため、マハティール首相が12日シンガポールを訪問した。
 午前のリー・シェンロン首相との会談で、マハティール首相は両国の1962年水供給協定に言及し、生水供給価格の見直し(引き上げ)を要求した。「リー首相は話に耳を傾けてくれた」とマハティール首相は会談後語ったが、リー首相は水価格の値上げについて言及しなかったもよう。
 また、首脳会談で各方面の話題で意見を交換したが、第3のブリッジ建設計画をマハティール首相は取り上げなかったという。コーズウェー、セカンドブリッジに次ぐ第3ブリッジはカーブ型にするとマレーシアは提案している。
 ともあれ、マハティール首相は、「以前と比べ、リー首相は両国間の課題、懸案について意見を出しやすくなっていると感じた」と語った。

双子の兄弟に似た関係

 マハティール首相は同日の歓迎昼食会で挨拶し、「両国は一度は統合合併したが、その後分離となった。双子のような関係だ。両国は競争しているが、それは良質な、優れた競争であり、これからも仲良く切磋琢磨していこうと思う」と述べた。
 一方、リー首相は、「今年5月にプトラジャヤでマハティール首相と会った。来月、再度KLに赴き、マハティール首相と会談する予定だ。今回も会両国関係の強化、協力促進などについて意見を交わした」と述べた。
 マハティール首相が首相になって初めてシンガポールを訪問したのは1981年であった。今年5月10日に再登板(首相就任)後の訪問はこれがはじめて。
(11月13スター、東方日報)

初の住宅購入者に融資制度導入

(マレーシア)住宅を初めて購入する人に向けて金融機関からの融資を得やすくする新たな制度「ファンドマイホーム」が開始される。
 この制度では、購入者が不動産価格の20%を頭金として支払えば、メイバンクかCIMBが残り80%を出資、購入者はそれを5年以内に返済する。しかし、通常の住宅ローンのように毎月定期的に返済する義務はなく、5年以内に住宅を売却したり、空いたスペースを貸し出したりしながら返済することも可能だ。11月初めにマハティール首相を主賓に招いてこの制度開始が宣言された。

1000戸を発売

 ファンドマイホームの第1弾として50万リンギ以下の住宅約1000戸が発売される。この制度に基づいて、第一弾となるエコマジェスティックを手がけたエコワールドのほか、IJM、IOIプロパティーズ、マーシン、PKNS、PNBデベロップメント、サンウェイ、トリニティー・グループ、UEMーサンライズが住宅建設を実施する。

部屋貸し出しの選択肢も

 首相は、「多くの不動産が建設されているものの、多くのマレーシア人には手が届かず売れ残っているのがマレーシアの実情だ。新制度の導入によってこれまで住宅を購入できなかった人たちにも機会を開放することになる」と語った。
 また、この制度に関するウェブサイト「FundMyHome.com」を開発したエッジプロプ社の親会社エッジ・メディア・グループのトン・クーイオン会長は、「この制度は政府の支出や保証がなくても住宅建設業界を活性化できる一方、住宅購入者が空いた部屋を貸し出すことで部屋貸し出しの選択肢が加わることになる」と評価。投機目的ではなく、住宅購入者が有効に資金を得るための一助になり、住宅所有を促す契機ともなるとの見方を示した。
(11月4日スター)

出資者募り住宅百万戸建設へ

(マレーシア)マハティール首相は11月初旬、2019年予算案で発表した不動産への出資者を広く募るクラウドファンディング方式を通じて、希望連盟が政権公約のひとつに掲げた廉価住宅を10年間で100万戸建設することが可能になるとの自信をのぞかせた。
 同予算案では、住宅を初めて購入する人の資金調達手段として、民間部門による「不動産クラウドファンディング」を認可。住宅購入者は不動産総額の20%を用意すれば、残り80%に対する出資者を募ることが可能になる。

「ピア・ツー・ピア」

 資金調達は、貸し手と借り手をインターネットで仲介する「ピア・ツー・ピア(P2P)」の枠組みに基づき実施し、証券取引委員会が規制する。一種の不動産投資信託(REIT)のような形だが、廉価住宅も含めた住宅を対象とした制度としては世界初となる画期的試み。19年第1四半期にも稼働する予定だ。
 そのテスト版として開設されたウェブサイトが「FundMyHome.com」で、ファンドマイホーム制度が首尾よく運べば、不動産クラウドファンディングを活用して住宅建設をさらに進める展望が開けると首相。
 首相はまた、この制度がうまく機能すれば、売れ残っている住宅の問題解決にも役立ち、希望連盟の政権公約の実現にも結び付くとの期待を表明。

直接保証はなし

 一方、「住宅購入者が出資金を返済しないで逃げてしまう危険性もあるが、その場合には出資者が住宅を差し押さえればすむ」として、政府が直接保証に乗り出す意向はないとの姿勢を示した。
(11月4日ベルナマ通信)

言語能力不足が就職のネックに

(マレーシア)マレーシア雇用者連盟(MEF)のシャムスディン・バルダン会長は、ブミプトラ卒業生の就職を困難にしている要因としてコミュニケーションや言語能力の不足をあげ、「自社製品やサービスを利用してもらうよう顧客を説得するうえで不可欠な技能が欠如していれば、就職できないのも当然」との見方を示した。

MTUC議長も同感

 マレーシア労働組合会議(MTUC)のアブドゥル・ハリム議長もその見方に同意、英語でのコミュニケーション能力に欠けているブミプトラ卒業生も少なくないと指摘する。これは財務省の2019年経済展望報告書のデータでも裏づけられている。17年時の高等教育を受けたブミプトラ卒業生の失業率は4・6%で、非ブミプトラと比較して高く、高等教育を受けていないブミプトラの失業率はさらに高かったからだ。

ミスマッチ

 一方、MEFのシャムスディン会長は、技能と職のミスマッチがブミプトラ卒業生の失業率の高さに結びついているのはないかとの見方を否定。「ミスマッチがあるとしても民族性とは関係なく生じていることだ」と語った。
 またMTUCのハリム議長は「卒業生が労働市場が求める必要性に適切に対処できていないことも一因になっている」と指摘。「初任給や労働時間に関して非現実的な要望を出して、雇用主から疑問符を突き付けられる例もある」と述べた。
(11月8日マレー・メール)