経済相任命めぐり飛び交う憶測

(マレーシア)マハティール首相が希望連盟政権第一党、人民正義党(PKR)のアズミン・アリ筆頭副総裁を強大な権限を持つ経済相に任命した。この動きが、首相後継者の座に波紋を呼ぶのではとの憶測を駆り立てている。シンガポールの英字紙ストレートタイムズが6月9日に報じた。
 希望連盟内では、1~2年後に首相の座をPKRの実質的指導者、アンワル元副首相に移譲することが合意事項となっている。しかし、元副首相支持者の間ではマハティール首相はアズミン経済相を対抗馬とすることで元副首相の政権内での影響力を削ごうとしているのでは、との警戒感も出ている。

ペトロナスほかを統括

 法的整備が整えば、アズミン筆頭副総裁が管轄する経済省は、マレーシア最大手の企業群を構成し合計資産額1兆リンギ以上におよぶ国策石油会社ペトロナスや国営投資ファンドのカザナ・ナショナル、貯蓄運営会社プルバダナン・ナショナルを統括する。さらに連邦土地開発庁や巡礼基金タブン・ハジなどマレー系イスラム教徒の福利を保全する重要な機関やマレー人起業家を支援する政府部局を傘下に置き、その管轄領域は広範におよぶ。
 アズミン筆頭副総裁とその側近、ズライダ・カマルディン住宅・地方自治体相は、PKR内でアンワル元副首相とその妻、ワン・アジザ副首相陣営へす対抗勢力を構成するとみられている。また政権交代直後に首相が閣僚よりも決定権を持つとみられる上級専門家評議会を編成したのも、元副首相陣営をけん制が目的ではとの疑念の声もある。

強大な権限をNo.2に与える

 こうした中、最初に首相を務めた1981年から2003年の間、分断統治の手法を用いて首相に挑もうとする与党内の勢力を抑えてきた過去を持つマハティール首相が、今回もその手法を踏襲しようとしているのではないか、との見方も出ているのである。
  アズミン経済相に強大な権限を与え、アンワル元副首相の対抗軸とすることで、「寝首をかかれる」ことを防ぐ権謀術数を駆使しているのではとの憶測がアナリストの間でも飛び交う。
 首相が希望連盟内で最多の議席(49議席)を得たPKRが要求した財務相、内相、防衛相、教育相の要職をPKRの議員には与えなかったことも、PKRの政権内における影響力を抑えておきたいとの意向を反映したものだとの声もある。

権力バランス

 一方で財務相の座を民主行動党のリム・グアンエン書記長を与え同党への支持姿勢を打ち出し、政権内の権力バランスにも深謀遠慮を働かせるようにもみえる。
 野党に転じた国民戦線を構成する政党などに対する分断工作も怠らないように見えるマハティール首相を、「まさに老獪な政治家。チェスの次の手をどう打つかを習得した完璧な策士ともいえる」(太平洋研究所のオー・エイスン主席顧問)と評する向きもある。まもなく93歳になる世界最長老の国家指導者として、ただならぬ才能を発揮する存在、それがマハティール首相の「素顔」のひとつともいえそうだ。
(6月9日ST)

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