(マレーシア)マレーシア中央銀行が3月下旬に発表した2017年年次報告書によれば、クアラルンプール(KL)の世帯の3割近くが最低生活水準以下での生活を送っている。
この報告書では、2016年の子ども2人と両親の世帯がKLで暮らすのに必要な最低収入を月6500リンギ、単身世帯では2700リンギと規定。また世帯収入の中間値を9073リンギと算出したうえで、KLの世帯の27%が最低生活費以下で生活していると指摘している。
最低生活費
この報告書で導入されている最低生活費は、基本的な衣食住にかかる費用に加えて、休みに家族や友人を訪ねたり、家族の誕生日や訪問時などにおみやげを買える社会的参加費や、絶えず経済的なひっ迫にさらされないだけの蓄えを加味して算出した。
稼ぎ手が一人
単身世帯についての生活費は、中卒者の平均初任給が1346リンギ、大卒者が2207リンギであることと見合った数値ではあるが、最低生活費以下の収入しか得ていない世帯の約70%が、稼ぎ手が一人しかいない世帯となっている。
高度な技能
また最低生活費以下の世帯は、低度および中度の技能職に就く中卒者が稼ぎ手に支えられる世帯が多く、必要生活費を上回るのは、高度技能職に就く高学歴の稼ぎ手を擁する世帯が多いという結果が出ている。
これは、より高い収入を得るには、高度な技能を持った労働者を創出することが重要であることを裏付けている。
貧困
一方、中央銀行はこの生活費に関する分析について、最低生活水準に必要となる収入の基準を示しただけで、マレーシア人が貧困に直面していることを意味しないと強調。
最低生活費は、雇用主が従業員の給与を考慮する際の指針としての役割を担うが、世帯の基本的な必要性に応じて算定され、法的な拘束力を持つ現在の最低賃金920〜1000リンギと置き換わるものではないとしている。
(4月6日ベルナマ/サン)