11年目を迎える「イスカンダル・マレーシア」

(マレーシア/経済) 2006年にジョホール州で計画がスタートした総面積2217平方キロメートに達する大規模経済特区開発計画、「イスカンダル・マレーシア」が2017年に11年目を迎える。

総額2244億リンギを誘致

 イスカンダル・マレーシアは2016年末までに総額2244億リンギ投資の誘致に成功しており、その半数以上のプロジェクトが具体化している。
 2016年の投資誘致実績は320億リンギだった。世界経済の先行きが不安定化している中でも、2017年は目標値270億リンギを上回る実績を達成できるものと期待されている。

2025年までの3830億誘致を目指す

 ムスタパ・モハメド通産相は今年始め、マレーシアの主要投資誘致産業である製造業とサービス業の投資誘致が今年は縮小する恐れがあることを認めていた。
 しかし開発計画を統括するイスカンダル地域開発庁(Irda)のイスマイル・イブラヒム CEO は、「投資見通しに世界的に陰りが出る中でも、東南アジアへの投資が堅調だ。
 2025年までの累積投資目標額3830億リンギ達成という当初の目標実現を引き続き目指す」と述べ、プロジェクトの展望は明るいと強調している。

教育産業投資が急成長

 投資の誘致とサポートを主任務とするイスカンダル・インベストメント社のカイリル・アンワル社長兼 CEO は、製造業及びサービス業に加え、最近は教育産業の投資が伸びを示していると指摘する。
 その多くは大学レベルの教育機関だが、高校生以下を対象としたトップレベルのプライベートスクールの開校も目立つ。
 「これは特にシンガポールからの進学を希望する需要への対応だ。従来、マレーシアの子どもたちがシンガポールの学校に進学した。
 しかし今はシンガポールの子どもたちがジョホールに勉強のためにやってくる。状況は大きく様変わりしている」とカイリル CEOは現況を概括する。

用地・用水不足がシンガポール企業移転の要因に

 シンガポール企業イスカンダル・マレーシアへの累積投資実績は2016年末で2017億リンギに達した。同年末の中国の累積投資実績が2456億リンギを記録するまで、シンガポールは投資実績で常に一位だった。
 この動きの背景として、シンガポール国内の光熱費など諸経費高騰への対応としてイスカンダル・マレーシアへ工場を移転するシンガポール企業が増加していることも挙げられる。
 シンガポール駐在のマレーシア高等弁務官であるランゴ・カルパナン氏はこの間の事情について、以下のように今後の動きを分析している。
  「諸経費値上がりだけでなく、土地不足と工場用水の不足も移転の動きを加速させています。シンガポールの石油化学と電子産業企業は長期的にはシンガポールを離れるのは不可避と判断していて、イスカンダル・マレーシアに移転する企業が今後さらに増えるものと見ています」。

人材のミスマッチが誘致の障害に

 潤沢な用地と工業用水などの水資源はイスカンダル・マレーシアの強力な優位点だが、弱点ももちろんある。
 それは人材のミスマッチの問題で、特にマネージメントレベルの人材の供給不足が深刻だ。
 ポイントはイスカンダル・マレーシアに投資する企業が必要とするハイレベルの要求を満たすマレーシア人ならば、マレーシアリンギが対米ドルで大幅に値下がりする中、マレーシア国外で就業すればより高水準のサラリーを期待できるという点だ。
 ただしカルパナン高等弁務官は魅力的な給与水準が人材確保には必須だと指摘し、「シンガポールの3分の一の給与水準で、信頼できる人材をジョホールに引き止めておけると考えるのは現実的ではありません」とアドバイスする。

映画産業も人材確保に苦戦

 イスカンダル・マレーシアが新たな投資誘致産業として重視しているメディア制作産業も人材確保に苦戦している点では同じだ。
 2009年12月に開業したPinewood Malaysia Studios は統合的なメディア製作スタジオで、総面積10万平方フィートの映画及びTV製作スタジオとフルレンジのポストプロダクションサービスを提供できる設備を備えている。
 同スタジオで部分的に撮影された海外のTV番組には米国のTVドラマシリーズ「Marco Polo」などがある。
 スタジオのレザル・ラーマンCEOは「Marco Polo」の製作について、人材確保の苦労、そして今後の展望を次のように語る。

メディア産業の最終的な目標は

 --製作スタッフのほとんどはKLでリクルートしました。ジョホール地元では適切なスキルセットを持ったスタッフが見つからなかったからです。
 とはいえ、KLで安定した仕事があるスタッフに、国際的なプロジェクトで報酬は5割増しだからと、今の仕事を辞めてジョホールへの移転を決意させるのにも苦労しました。
 その点、海外の映像クルーは世界中のスタジオで仕事をしているので、ジョホールに呼び寄せるのも簡単でした。
 私たちは高給に加えて海外からのスタッフから国際水準のスキルを学べるのも大きなメリットと考え、地元の人材募集の際にアピールしています。
 将来的には国際的な作品制作に関わることで培ったスキルを、地元製作の作品に地元スタッフがフィードバックしてくれることが私の最終的な目標です--。
(4月1日 The Star)

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